雨が降っても傘をささない。

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研修メモ:子宮内膜症

受講研修名:子宮内膜症~疾患と治療

疫学

妊娠・出産前の20~30代女性。13万人(10人に1人)
エストロゲン分泌に依存して起こるため若い女性に多い。
エストロゲン:子宮内膜の増殖と肥厚に寄与。
プロゲステロン:内幕の増殖を抑え、受精卵の着床を助ける

疾患

卵巣、腹膜、子宮だけでなく、肺、腎臓などにも発生する。
生理ではプロスタグランジンの分泌により子宮収縮が起こり出血するが、
子宮内膜症ではこれが過剰分泌され、激しい収縮と出血、血流低下による虚血が原因で強い痛みが起こる。
主な症状は以下。

◇腹膜子宮内膜症
◇チョコレート嚢腫
ダグラス窩閉塞

月経と同時にこれらも剥がれ落ちようとする。
強い痛みが生じる原因の1つ。
そりゃふつうはがれない組織がはがれようとするんだからむっちゃいたい。
癒着が進むと臓器同士が不自然な状態にくっつくため、動きが悪くなり、
月経関係なく痛みが出始める。更に50%が不妊を生じる。

診断

超音波検査

卵巣の腫れ、腫瘍の大きさを見る。

MRI・CT

病巣の場所、癒着の度合いを見る。

血液検査

貧血の具合、CA-125など卵巣がん腫瘍マーカーも調べ、除外診断を行う。
正常値は35U/ml
確定診断は腹腔鏡検査や開腹手術により病変の採取、組織検査を行う。

薬物治療

進行阻止、痛み軽減によるQOL向上、手術を行う場合は成功率を上げることを目的として行う。

内分泌療法(ホルモン療法)

◇偽閉経療法

エストロゲンを抑えることによって閉経したような状態を起こし、余分な内膜を減らす。
副作用は更年期障害みたいな症状各種。

>Gn-RH製剤
エストロゲンを分泌させようとするホルモンを逆に薬で補う
エストロゲン増えすぎるので、逆に体がエストロゲンもういらないよ!って気づく(ダウンレギュレーション)
を起こしエストロゲンを減少させる。
一過性の悪化が認められる(不正出血がある事が多い)
薬は点鼻、注射がある(飲み薬は分解されるため)

月経周期1~5日目より投与開始する。必ず避妊する。6ヶ月を超えて投与しない。

>ダナゾール製剤
男性ホルモン誘導体を入れて、女性ホルモン全体を抑える。
痛みが強い人に向いている。男性化、血栓症のリスクあり。

月経2~5日目から投与開始すること。必ず避妊をすること。

◇偽妊娠療法

エストロゲンプロゲステロンのバランスをプロゲステロンに傾ける。

>ピル
エストロゲンに比べてプロゲステロンが5~30倍入っている。
低量ピルで効果が期待できるのは一相性のもの。

>ジエノゲスト製剤(ディナゲストなど合成黄体ホルモン製剤)
月経周期2~5日目に開始。
1年に1回は臨床検査を行う。不正出血が起こりやすい。

対症療法

NSAIDs(ロキソニンとか)

痛みを感じる物質、プロスタグランジンが作られるのを抑えて、痛みを抑える

◇漢方

桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、桃核承気湯、芍薬甘草湯
どれが効くかは個人差。
合わない人は胃が荒れやすかったりむくみが出たりするから注意。

◇LT受容体拮抗薬など

ほんとは喘息の薬、キプレスとかシングレアとか。
適応外処方。
子宮内膜にはロイコトリエン受容体(アレルギーや炎症を起こす)が多いため、NSAIDsが効かない月経痛に使用する。